ざくろ色の止まり樹

いまある音楽を楽しむ。

好きなことを続けるには、外ではなく「内」からのモチベーションが必要だ。

自分が好きなもの、続けられるものって、なんだろう?

これは思ったより、難しい問題だと思うんだ。
なぜなら、「自分のやりたいこと」と「周りの人が言ってるから、やったほうがいい・やらなきゃいけないと思っていること」は、往々にしてすぐに混同されてしまうから。
ほんとうによく考えて区別をしないと、だんだん無理が生じてくる。
糸が切れたようにやる気がなくなり、生きるエネルギーが消耗されていく。

「やりたいこと」と「やらなきゃいけないこと」を区別するためには何が必要なのだろう?

そのひとつは、内から来るもの…他人のことばに左右されない、心の芯から信じられる自分自身の感覚だとわたしは思う。
心から「面白い」「楽しい」って思う瞬間。
内からどうしようもなく湧き出る快感だ。

それを探しだすって、すごく難しいし、面倒なものだ。
すごく頭を使うだろうし、すぐに見つかるものでもないし。
正直なところ、そこまでして生きたいか?と思ったりもする。
実際わたしはこんな話をしておいて、そこまで強い情熱とか執着を持って好きでいられている「一つ」のこと、というのはないよ。
「なんとなく好きかもって思うことが、まあまあたくさんある」という感じだ。
それでもこのことだって、「ただ一つのことを、情熱をもって続けなきゃ一流になれない」みたいな、よくある成功のための「他人のことば」が影響しているのは確かだ。
それがほんとうに事実であるのかは、自分の人生を使って体験するしか、知ることはできないんじゃないかって思う。
ここで大事なのは、「一つのことを続けなきゃいけない」って思うのではなくて、「続けたいと思う一つのことを探し出す」、というように、自分の内側にしっかり目を向けられるようにしたいってことだ。

能アーティスト、青木涼子さんの生き方をヒントに

もし、ほんとうに好きなことを迷いなく続けていきたいという強い思いがあるなら、あるアーティストの生き方が参考になるかもしれないと思うので、最後に紹介するよ。
わたしが好きなアーティストの一人に、青木涼子という女性がいる。 西洋の「現代音楽」と日本の「能」を融合させるという新しいパフォーマンスのパイオニアだ。
その活動の内容も刺激的で好きだし、何よりその「情熱を持って一つのことを続けている」姿勢がすごく素敵だし、憧れている。
以下の3回にわたるインタビューは、有料だけれどもすごく面白い内容だった。 まだ土台のできていない新しいフィールドでどう進んでいくのかとか、「好きなことを続ける」以外にも参考になる話ばかりだったよ。

cakes.mu

アウェイの環境でいいパフォーマンスをするためには、自分なりのモチベーションを保つポイントを見つけることが必要です。それは、ちゃんと対価が支払われることかもしれないし、お客さんにあたたかく迎えられることかもしれないし、メディアに取り上げられることかもしれないし、演出家に自分の意見が通ることかもしれない。「これがあったら私はがんばれる」ということを、見つけておくようにしています。

能を用いて新しいことを始めるときは、こわかったですよ。まわりの目が気になって仕方がなかった。でも、やってみたら意外とみんなよそのことは気にしていないということがわかった。…一番大事なのは、自分がやりたいことを実現することです。そのために、全員に理解してもらう必要はありません。小さいことからでも何でも物事を実現しない限り、自分のやりたいことを人に伝えることはできませんから。